徹底的にクールな男達
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頭が痛いのは記憶がなくなるほど飲んだせいではない。
実際記憶はなくなっていないし、使用済みのコンドームもゴミ箱の中にしっかり存在している。
腹立たしかった。
福原が。
流された自分が、ではなく、福原が腹立たしかった。
今も人の家の炬燵で1人すやすや眠りについているが、二度とその腕に抱かれる気はしないし、触れられたいとも思わない。
ただ確定的なのは、合意をしていなかったという点だ。
曖昧だが、それなりに拒否はしたはずである。
そんな拒否をするりとかわされ、福原に引っかかった自分が、いや、引っかけた福原が憎かった。
底まで沈んだ気持ちを冷静に判断し、二度と福原と話をしない、と心に誓う。
そこまで考えてからこっそり着替え、先に出ることにする。起きて色々話しかけられると面倒だ。
家はここだけじゃない、他にもある。
世の中の男は福原だけじゃない。他にもたくさんいる。
イライラを押さえながら、最後にバックを手にとった瞬間、
「冷たいー、どっか行くの?」
寝ぼけてはいない、はっきりした声で福原は聞いた。
「……、帰ります。家に。だから、片付けして帰って下さい。私また、昼過ぎたら鍵閉めに来ますから」
本日午後出社の福原が11時過ぎには出るだろうと予測して冷たく言い切る。
「家って俺んち?」
笑いながら聞くので、
「違います。私の家です」
平然と言い切った。
「ここじゃない、いつもの家です」
無表情になった福原をそのままに、バックを手に取り玄関へ向かう。
「ちょっと待って。何でそんな怒ってんのか意味分かんないんだけど」
慌てて炬燵から這い出た福原は、玄関でパンツ一枚のまま背後に立った。
「最悪ですよ……」
麻見は、玄関のドアを見つめて続けた。
「もう絶対話しかけないでください」
ドアノブを捻り、そのまま出ようと試みるが、
「待てって」
まるで我が物のように、ドアノブを握る手の上から手を重ね、しかも空いた左手で抱きしめて来る。
「……嫌いになった?」
しおらしく、耳元で囁かれ、思わず首を捻った。
「近づかないでください!!」
拒否しているはずなのに、福原の顔が肩の上に乗って近づいてくる。
「やあだ」
「ちょっ……」
力任せに顎を掴まれ、キスをされた。
そうなるとバックは手から簡単に落ちるし、その空いた手に再びゴツゴツの指が絡まってくる。
近づかれるのが嫌だ。
福原のことなんか好きじゃない。
絶対に好きじゃない!
なのに……
「膝ガクガクにしちゃって」
キスごときに溺れて立てなくなって、その、嫌いな福原に自ら寄りかかってしまう。
「も一回したいんでしょ?」
今度は軽く柔らかく、しかも丁寧にキスをしかけてくる。
「あぁ……立ったままでしよっか」
そんな、嫌だ。
好きじゃない。嫌いだ。
性格とか、外見とか、仕事への取組み方とか、色々全部嫌いなのに、
「あぁ……、最高……。カワイ」
だらしない顔に、愛おしいといわんばかりにキスを落としてくる。
「可愛くおねだりしてみ?」
そんなことできるはずがない。
「力抜けてて無理か……」
そうじゃなくて、そんな気になれないだけだ。
そう心では思っているのに、お姫様抱っこされると身体のどこにも力が入らなくなり、
「じゃ、あっちで二回戦するか。今日は休みだから、足腰立てなくてなくなってもいいよな」
再び炬燵のカーペットに身を沈まされ、何にも抗えなくなってしまうんだ。
頭が痛いのは記憶がなくなるほど飲んだせいではない。
実際記憶はなくなっていないし、使用済みのコンドームもゴミ箱の中にしっかり存在している。
腹立たしかった。
福原が。
流された自分が、ではなく、福原が腹立たしかった。
今も人の家の炬燵で1人すやすや眠りについているが、二度とその腕に抱かれる気はしないし、触れられたいとも思わない。
ただ確定的なのは、合意をしていなかったという点だ。
曖昧だが、それなりに拒否はしたはずである。
そんな拒否をするりとかわされ、福原に引っかかった自分が、いや、引っかけた福原が憎かった。
底まで沈んだ気持ちを冷静に判断し、二度と福原と話をしない、と心に誓う。
そこまで考えてからこっそり着替え、先に出ることにする。起きて色々話しかけられると面倒だ。
家はここだけじゃない、他にもある。
世の中の男は福原だけじゃない。他にもたくさんいる。
イライラを押さえながら、最後にバックを手にとった瞬間、
「冷たいー、どっか行くの?」
寝ぼけてはいない、はっきりした声で福原は聞いた。
「……、帰ります。家に。だから、片付けして帰って下さい。私また、昼過ぎたら鍵閉めに来ますから」
本日午後出社の福原が11時過ぎには出るだろうと予測して冷たく言い切る。
「家って俺んち?」
笑いながら聞くので、
「違います。私の家です」
平然と言い切った。
「ここじゃない、いつもの家です」
無表情になった福原をそのままに、バックを手に取り玄関へ向かう。
「ちょっと待って。何でそんな怒ってんのか意味分かんないんだけど」
慌てて炬燵から這い出た福原は、玄関でパンツ一枚のまま背後に立った。
「最悪ですよ……」
麻見は、玄関のドアを見つめて続けた。
「もう絶対話しかけないでください」
ドアノブを捻り、そのまま出ようと試みるが、
「待てって」
まるで我が物のように、ドアノブを握る手の上から手を重ね、しかも空いた左手で抱きしめて来る。
「……嫌いになった?」
しおらしく、耳元で囁かれ、思わず首を捻った。
「近づかないでください!!」
拒否しているはずなのに、福原の顔が肩の上に乗って近づいてくる。
「やあだ」
「ちょっ……」
力任せに顎を掴まれ、キスをされた。
そうなるとバックは手から簡単に落ちるし、その空いた手に再びゴツゴツの指が絡まってくる。
近づかれるのが嫌だ。
福原のことなんか好きじゃない。
絶対に好きじゃない!
なのに……
「膝ガクガクにしちゃって」
キスごときに溺れて立てなくなって、その、嫌いな福原に自ら寄りかかってしまう。
「も一回したいんでしょ?」
今度は軽く柔らかく、しかも丁寧にキスをしかけてくる。
「あぁ……立ったままでしよっか」
そんな、嫌だ。
好きじゃない。嫌いだ。
性格とか、外見とか、仕事への取組み方とか、色々全部嫌いなのに、
「あぁ……、最高……。カワイ」
だらしない顔に、愛おしいといわんばかりにキスを落としてくる。
「可愛くおねだりしてみ?」
そんなことできるはずがない。
「力抜けてて無理か……」
そうじゃなくて、そんな気になれないだけだ。
そう心では思っているのに、お姫様抱っこされると身体のどこにも力が入らなくなり、
「じゃ、あっちで二回戦するか。今日は休みだから、足腰立てなくてなくなってもいいよな」
再び炬燵のカーペットに身を沈まされ、何にも抗えなくなってしまうんだ。