徹底的にクールな男達
「…………、ずっとそこに居たの?」
バスローブを羽織って、何気に部屋に戻るとまだ入り口でコートを着たまま突っ立っていたので驚いて聞いた。
「え、だって…………」
一体どうしたいんだ……。
武之内は目を逸らすと、すぐにベッドに上り込んで座り、目の前のテレビの電源をリモコンで入れた。
身体どうこうというより、まずは話をしないといけないのかもしれない。何を考えているのかさっぱり分からない。
「…………、麻見、ちょっとおいで」
テレビに向かって言った。
だが反応がないので、聞いてないのかと、入口を見る。
「…………」
目が合ってから、麻見はようやく足を一歩前に踏み出した。
「ベッドの端にでも座って。……何もしないから」
ここまで来て、しかも自ら予定を組んでおいて「何もしない」と言った途端、安心して近寄って来ようとは……。一体……どうしたいんだ。
「麻見。何か嫌なことがあるの?」
俺は、目の前のテレビを見ながら聞いた。
「俺は一応、するつもりでここにきてるんだけど。あまりにも嫌そうだから」
「…………、私、後藤田さんに頼んだ方が良かったのかと……」
「え……、迷ってるの?」
ここに来て、俺の時間を割いておいて、今更他と迷っているだなんて、それはないだろう。
「あの……迷ってる……とか……」
「言いたいことあるんなら言って? 聞くから」
イライラしているのが声に出てしまっている。自分でも半分はいけないと思ったが、半分は仕方ないと麻見のせいにした。
「……………、あの…………」
「…………」
俺はテレビを消して、麻見の方をじっと見つめた。
「すみませんでした。……ハンコ押してしまって……」
「何が?」
前後が全く分からず、言い方がきつくなってしまう。
「あの、その……私、ハンコ押して郵送したんですけど、やっぱり、武之内店長に頼ったのが間違ってたんじゃないのかとか……」
「そんなことあるわけないじゃない。先に僕がサインしてるんだから」
「……はい……」
少し安心したのか、麻見の表情が少し緩んだ。
「後藤田さんに頼るかどうか迷ってるの? 僕は後藤田さんのことをよく知らないけど、今までのことを傍から聞いている限りでは、あまり近寄らない方が身のためだと思う。これは、麻見のために言ってる」
「でも、武之内店長……」
「…………」
耐え切れずにベッドから降りた。椅子の背にひっかけていた黒いパーカーの中からタバコの箱とライターを取り出して、その場ですぐに吸った。
次いでテレビが置いてある棚に灰皿を探し当て、そこで壁に背をもたせかけてから麻見を見た。
目が合うが、すぐに逸らされた。
「すみません、…………」
「何を謝ってるのか知らないけど……」
俺は麻見がいる方向とは反対方向の窓際に煙を飛ばした。
「あのぉ、でも私は、したくないとかそういうんじゃなくて」
「うん」
「その……どちらかといえば、武之内店長が嫌そうな……」
「ちょっと。僕のせいにしないでくれる? こんな所まで来て、今更嫌はないでしょ」
こんなレイプまがいのセリフまで言わされて、大変納得がいかない。
「……じゃあ麻見、別に嫌じゃないんなら……」
俺はもうどうでもいいやとタバコを灰皿に押し付け、ベッドに体重をかけた。
大袈裟にギシッとベッドが沈み、麻見がより硬直するのが分かる。
細い肩に手をかけると、ガチガチに力が入っており、
「力抜いて」
言いながら、身体を強引にベッドの端から中央に寄せた。
想像通り軽く、麻見は俺の下で顔を大きく背け、涙目で身体を硬直させた。
やる気にならない。
俺は、麻見の左側に身体を置き、麻見を窓際に向かせてその背後から身体に触れた。
コート越しでも、触れた腕が震えているのが分かる。
「…………」
怖いのか? もしかして、処女なのか!?
あ、それで……。
それなら納得もいくと、なんとなく安心したが、かける言葉が見当たらず、何度か腕をさすった。
すぐに震えはおさまってくるが、コートが邪魔なので袖から丁寧に脱がせた。脱いだ真っ白いコートは汚れるといけないので、椅子の背にかけておく。
次いで体勢を戻し、今度は黒いセーターの上から腕をさすり、そしてようやくジーパンの腰に手が届いた。
ビクンと身体が跳ねるのが分かる。一瞬、肩の力も抜けたようだ。
反応は悪くないらしい。
俺は自らの身体を寄せ、腰から太腿辺りをゆっくりさする。
ふと見ると髪の毛の間から耳たぶが出ているのが見え、舐めようかなと思ったが辞めた。そういうのは恋人同士でする行為に思えたからだ。
太腿をさすっている手が一瞬、内またの方にズレてしまった途端、大きく身体が揺れた。
もしかしたら、相当期待されているのかもしれない。
俺は、その期待に応えるのが筋だろうと、セーターの上から腹をまさぐり、胸に触れた。
再び、身体が硬くなる。
まあ、大きさはそこそこだ。
ブラジャーをとろうと、セーターの中に手を突っ込むと、ティシャツからあり、その下に入り込むと、直に手が触れる。背中にまわってホックを探した。
あれ? 前ホック?
再び前にまわり、ホックを探し当てるとパチンと外した。
セーターに厚みがあって邪魔なので、先に脱がしておけば良かったと一瞬後悔したが、ギリギリ首まで上げても落ちて来なさそうなので、そのまま、ティシャツ越に片胸を触る。
感触に耐えきれず、右手も麻見の身体の下から滑り込ませ、両手で堪能した。
堅くしこった乳首が、薄いティシャツ越しに触れる。
麻見は大きく身体をビクつかせ、吐息を吐いた。
「はあ……」
いつもの麻見からではない、完全なる女の性に雄の本能が反応する。
完全に身体の力は抜け落ち、されるがままの状態。
ティシャツの中に手を差し込んで直接しても良かったが、なんとなく無駄に肌に触れることに躊躇いを感じ、やめた。
それに、そのままでも充分感じている。
「…………」
つい癖で言葉責めをしたくなるが、今日は無難に無言の方がいい。
そう考えると、これは治療なんだと、いやらしい気持ちが半減した。
「あっ……武………アッ」
乳首が性感帯なのか、随分身体が喜んでいる。ティシャツ越しの方が生地が擦れて好きなのかもしれない。
「あッ……の……」
何か言おうとしている。そうなると、つい責めてしまいたくなるのが男だ。
「何?」
聞きながら、片方だけ爪の先でカリカリと掻いた。
「アッ!!」
身体が大きく揺れ、髪の毛が大きくなびく。
次は荒くなった息が整うように、優しくソフトに触れながら、
「……何?」
優しく聞いた。
「…………、はあ……あ……武之内……店長……」
この状態で店長と言われると、頭が冴えてしまう。
「その呼び方はやめてほしいな」
言おうと思ったがやめた。そこまで制限させるのも間違っている気がしたからだ。
「ンッ」
しばらく黙っていてもらおうと、再び爪先で掻いた。爪先で掻き、つまみ、擦って責める。
「あっ、あっ、あっ……」
高い悲鳴が上がり、俺の手首を掴んで動きを封じてくる。
俺は邪魔だと、麻見の両腕を頭まで上げてセーターを腕まで脱がせた。あ、ちょっと楽しい。
身動きがとれなくなった麻見は、セーターを脱ぎ切ろうともせず素直に両腕を上げて服を腕に絡めたまま陶酔しきっている。
「武……之内……」
何が言いたいんだろう。俺は休憩をとるつもりで、両指先でつまんだまま
「何?」
再び聞いた。
「あの……」
「…………」
「その……」
そういう間があると、手持ち無沙汰になって、つい指に力を込めてしまう。
再び甘い声が漏れ始めた。
「何?」
到底言えない状態になっているのにも関わらず、身体がガクガク震えているのにも関わらず、あえて言葉をかける。
「……て……んちょう…………」
身体を預けた状態でそう言われると、どうしても罪悪感が先にたって怖くなる。
「…………どうした?」
俺は一旦手を離して聞いた。
「……じ……」
「何? じって?」
何を言っているのか分からず、背後から抱きしめ、口元に耳を寄せた。
「じか、に……」
「じかに? ああ、直にね。……直に」
俺は半分笑いながら、ジーパンのボタンに手をかけた。
「えっ!?」
麻見はすぐに俺の手首に手をかけてきたが、構わずジーパンを脱がせ、下着も剥ぎ、問答無用に身体を真上に向かせると、その股の間に割り込んだ。
「直に」
バスローブを脱いだ俺は、何もつけずに、濡れたその中に入り込む。
バスローブを羽織って、何気に部屋に戻るとまだ入り口でコートを着たまま突っ立っていたので驚いて聞いた。
「え、だって…………」
一体どうしたいんだ……。
武之内は目を逸らすと、すぐにベッドに上り込んで座り、目の前のテレビの電源をリモコンで入れた。
身体どうこうというより、まずは話をしないといけないのかもしれない。何を考えているのかさっぱり分からない。
「…………、麻見、ちょっとおいで」
テレビに向かって言った。
だが反応がないので、聞いてないのかと、入口を見る。
「…………」
目が合ってから、麻見はようやく足を一歩前に踏み出した。
「ベッドの端にでも座って。……何もしないから」
ここまで来て、しかも自ら予定を組んでおいて「何もしない」と言った途端、安心して近寄って来ようとは……。一体……どうしたいんだ。
「麻見。何か嫌なことがあるの?」
俺は、目の前のテレビを見ながら聞いた。
「俺は一応、するつもりでここにきてるんだけど。あまりにも嫌そうだから」
「…………、私、後藤田さんに頼んだ方が良かったのかと……」
「え……、迷ってるの?」
ここに来て、俺の時間を割いておいて、今更他と迷っているだなんて、それはないだろう。
「あの……迷ってる……とか……」
「言いたいことあるんなら言って? 聞くから」
イライラしているのが声に出てしまっている。自分でも半分はいけないと思ったが、半分は仕方ないと麻見のせいにした。
「……………、あの…………」
「…………」
俺はテレビを消して、麻見の方をじっと見つめた。
「すみませんでした。……ハンコ押してしまって……」
「何が?」
前後が全く分からず、言い方がきつくなってしまう。
「あの、その……私、ハンコ押して郵送したんですけど、やっぱり、武之内店長に頼ったのが間違ってたんじゃないのかとか……」
「そんなことあるわけないじゃない。先に僕がサインしてるんだから」
「……はい……」
少し安心したのか、麻見の表情が少し緩んだ。
「後藤田さんに頼るかどうか迷ってるの? 僕は後藤田さんのことをよく知らないけど、今までのことを傍から聞いている限りでは、あまり近寄らない方が身のためだと思う。これは、麻見のために言ってる」
「でも、武之内店長……」
「…………」
耐え切れずにベッドから降りた。椅子の背にひっかけていた黒いパーカーの中からタバコの箱とライターを取り出して、その場ですぐに吸った。
次いでテレビが置いてある棚に灰皿を探し当て、そこで壁に背をもたせかけてから麻見を見た。
目が合うが、すぐに逸らされた。
「すみません、…………」
「何を謝ってるのか知らないけど……」
俺は麻見がいる方向とは反対方向の窓際に煙を飛ばした。
「あのぉ、でも私は、したくないとかそういうんじゃなくて」
「うん」
「その……どちらかといえば、武之内店長が嫌そうな……」
「ちょっと。僕のせいにしないでくれる? こんな所まで来て、今更嫌はないでしょ」
こんなレイプまがいのセリフまで言わされて、大変納得がいかない。
「……じゃあ麻見、別に嫌じゃないんなら……」
俺はもうどうでもいいやとタバコを灰皿に押し付け、ベッドに体重をかけた。
大袈裟にギシッとベッドが沈み、麻見がより硬直するのが分かる。
細い肩に手をかけると、ガチガチに力が入っており、
「力抜いて」
言いながら、身体を強引にベッドの端から中央に寄せた。
想像通り軽く、麻見は俺の下で顔を大きく背け、涙目で身体を硬直させた。
やる気にならない。
俺は、麻見の左側に身体を置き、麻見を窓際に向かせてその背後から身体に触れた。
コート越しでも、触れた腕が震えているのが分かる。
「…………」
怖いのか? もしかして、処女なのか!?
あ、それで……。
それなら納得もいくと、なんとなく安心したが、かける言葉が見当たらず、何度か腕をさすった。
すぐに震えはおさまってくるが、コートが邪魔なので袖から丁寧に脱がせた。脱いだ真っ白いコートは汚れるといけないので、椅子の背にかけておく。
次いで体勢を戻し、今度は黒いセーターの上から腕をさすり、そしてようやくジーパンの腰に手が届いた。
ビクンと身体が跳ねるのが分かる。一瞬、肩の力も抜けたようだ。
反応は悪くないらしい。
俺は自らの身体を寄せ、腰から太腿辺りをゆっくりさする。
ふと見ると髪の毛の間から耳たぶが出ているのが見え、舐めようかなと思ったが辞めた。そういうのは恋人同士でする行為に思えたからだ。
太腿をさすっている手が一瞬、内またの方にズレてしまった途端、大きく身体が揺れた。
もしかしたら、相当期待されているのかもしれない。
俺は、その期待に応えるのが筋だろうと、セーターの上から腹をまさぐり、胸に触れた。
再び、身体が硬くなる。
まあ、大きさはそこそこだ。
ブラジャーをとろうと、セーターの中に手を突っ込むと、ティシャツからあり、その下に入り込むと、直に手が触れる。背中にまわってホックを探した。
あれ? 前ホック?
再び前にまわり、ホックを探し当てるとパチンと外した。
セーターに厚みがあって邪魔なので、先に脱がしておけば良かったと一瞬後悔したが、ギリギリ首まで上げても落ちて来なさそうなので、そのまま、ティシャツ越に片胸を触る。
感触に耐えきれず、右手も麻見の身体の下から滑り込ませ、両手で堪能した。
堅くしこった乳首が、薄いティシャツ越しに触れる。
麻見は大きく身体をビクつかせ、吐息を吐いた。
「はあ……」
いつもの麻見からではない、完全なる女の性に雄の本能が反応する。
完全に身体の力は抜け落ち、されるがままの状態。
ティシャツの中に手を差し込んで直接しても良かったが、なんとなく無駄に肌に触れることに躊躇いを感じ、やめた。
それに、そのままでも充分感じている。
「…………」
つい癖で言葉責めをしたくなるが、今日は無難に無言の方がいい。
そう考えると、これは治療なんだと、いやらしい気持ちが半減した。
「あっ……武………アッ」
乳首が性感帯なのか、随分身体が喜んでいる。ティシャツ越しの方が生地が擦れて好きなのかもしれない。
「あッ……の……」
何か言おうとしている。そうなると、つい責めてしまいたくなるのが男だ。
「何?」
聞きながら、片方だけ爪の先でカリカリと掻いた。
「アッ!!」
身体が大きく揺れ、髪の毛が大きくなびく。
次は荒くなった息が整うように、優しくソフトに触れながら、
「……何?」
優しく聞いた。
「…………、はあ……あ……武之内……店長……」
この状態で店長と言われると、頭が冴えてしまう。
「その呼び方はやめてほしいな」
言おうと思ったがやめた。そこまで制限させるのも間違っている気がしたからだ。
「ンッ」
しばらく黙っていてもらおうと、再び爪先で掻いた。爪先で掻き、つまみ、擦って責める。
「あっ、あっ、あっ……」
高い悲鳴が上がり、俺の手首を掴んで動きを封じてくる。
俺は邪魔だと、麻見の両腕を頭まで上げてセーターを腕まで脱がせた。あ、ちょっと楽しい。
身動きがとれなくなった麻見は、セーターを脱ぎ切ろうともせず素直に両腕を上げて服を腕に絡めたまま陶酔しきっている。
「武……之内……」
何が言いたいんだろう。俺は休憩をとるつもりで、両指先でつまんだまま
「何?」
再び聞いた。
「あの……」
「…………」
「その……」
そういう間があると、手持ち無沙汰になって、つい指に力を込めてしまう。
再び甘い声が漏れ始めた。
「何?」
到底言えない状態になっているのにも関わらず、身体がガクガク震えているのにも関わらず、あえて言葉をかける。
「……て……んちょう…………」
身体を預けた状態でそう言われると、どうしても罪悪感が先にたって怖くなる。
「…………どうした?」
俺は一旦手を離して聞いた。
「……じ……」
「何? じって?」
何を言っているのか分からず、背後から抱きしめ、口元に耳を寄せた。
「じか、に……」
「じかに? ああ、直にね。……直に」
俺は半分笑いながら、ジーパンのボタンに手をかけた。
「えっ!?」
麻見はすぐに俺の手首に手をかけてきたが、構わずジーパンを脱がせ、下着も剥ぎ、問答無用に身体を真上に向かせると、その股の間に割り込んだ。
「直に」
バスローブを脱いだ俺は、何もつけずに、濡れたその中に入り込む。