STRANGE ~忘れないでね先生~
何気ない日常
「おはよー」

奈緒とはうまくやっている
が、まだ落ち着かない。

いつも一緒にいるから、
話題に困る。気を遣う。

だから、場を紛らすにはもってこいの話題。
“恋バナ”!!

「奈ー緒ー。好きな人できた~?」
「え?いないしー」
「はー?つまらんなー・・・」

えー・・・どうしよう。話題がない(笑)

「あ・・・・・そーいえばさー。もう少しで
中間テストだよね~」

苦し紛れの一言

「そーだねー」

会話終了。チーン。

なぜこんなに気を遣っているのか
自分でも分からないが、
とにかく何かを話そうと話題選びに必死だった。









「はあ」

まだ見慣れない風景を目に、
1人で帰りながらチャリをこぐ。
「今日も疲れたな~」

誰もいないのに話してる自分。
「あ~・・れ?この道だっけ・・ん~?」

最近アパートに引っ越したから、まだ道を覚えていない。
「まぁいーや・・・でもほんとにありえんょなー、、」

いつも、独り言を言いながら帰るのが

私の日課。


ありえない。ありえない。。

話すと長くなるのだが、事の始まりは中学2年の夏。


まだ・・一軒家に住んでいたときの話。

父の友達が多額の金を借りるために、この・・・父の家
そう。私が住んでいたあの家を、担保にしてしまったが故に
私達家族はボロボロになっていった。

その友達は逃げ

友達の残した借金のカタとして家は売り

飼っていた愛犬は「預ける」と称して捨てられ

親は離婚した。

姉と私の親権は何故か父へ

私が中学卒業するまでは、母親と暮らす。
ということでアパートを借りて、
いまオカンと住んでいる。

今までが幸せすぎだったんだ

何気なくすごしてきた日々が、

これほど幸せだったことに

今更

気づく。


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