お兄ちゃん……


 私が5歳の時……だったかな。お父さんが、お兄ちゃんを家に連れてきたのは。

 お兄ちゃんの本当の両親が亡くなって、私のお父さんとお兄ちゃんのお父さんが知り合いだったから、引き取ることにしたらしい。

 いまでも思い出す。



『初めまして』


 
 そう言って、私に笑顔で挨拶をした彼の顔を。

 心臓がばくんと跳ねた。

 お兄ちゃんに見つめられて、まともに彼を見る事が出来なくて……目をそらした。

 私は、5歳の時からお兄ちゃんに恋をしていた。
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