お兄ちゃん……


 あれから、16年が経った今でも私はお兄ちゃんが好き。

 けれど、肝心の彼は私の恋心に気づきもせず、妹としか見てくれない。

 それがたまらなくもどかしい。



「お兄ちゃん! 朝だよっ。ご飯出来たってお母さんが言ってるよ!!」

 そんな私の朝の日課は、寝坊助お兄ちゃんを起こす事から始まる。

「……あと5分だけ。今日早出じゃないから」

「そんな事言って、早出じゃない日も5分だけって言うじゃん」

 私は、怒りながらタオルケットを奪い取る。

 夏も終わりに近づいて、最近は朝が寒い。

 タオルケットは、必需品だった。

 当然、一気に寒くなった兄は飛び起きる。


「奈央! 急に取ったら寒いだろう」


 頭がボサボサのまま、我が愛しのお兄ちゃんは目を覚ました。
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