お兄ちゃん……


「遅くまで寝てるお兄ちゃんが悪いんだよーだ」


「全く奈央は……。いつまでも、子供だよな」


 子供……。
 急に、胸が痛くなる。

 今の発言は、私の事を妹としか見ていない証拠だ。

「じゃ、じゃあ私先にリビングに行ってるから」


「奈央、具合でも悪いのか?」


「別に、そんなんじゃないから!」


 そう言って、お兄ちゃんの部屋から飛び出す私。

 16年も片思いしていて、恋が実らないのは、お兄ちゃんの鈍感さにあると思う。
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