素晴らしき今日
午前中の授業はすぐに終わった。
昼休みもすぐに終わった。
「今日は呼び出されないのか?」なんて冷やかしを受けたが気にはしなかった。
もちろん午後の授業もすぐに終わった。
理由は一つ。「さくら」と呼ばれた子の事が意識的なのか、無意識的なのか気になっていたからだ。
帰り支度をして、一旦家に帰った。自転車で行く方が早いから。
五月の風を体中に浴びるが気持ちいいのか、早く会いたいからなのか、ペダルを漕ぐ足は自然と速くなっていく。
少し汗の滲んだ額を拭って母親の病棟に入る。
相も変わらず元気そうだった。
「本当に来てくれたんだ」
「まぁな。どう?」
「元気だよ。見たらわかるでしょ」
「あぁわかる。手術いらねーんじゃねぇの?」
「そうかもね」
そう言って呑気に笑う。
「ま、でも母さんの事は気にしないで早く帰りなさいよ。テストだってあるんだから」
「わかってるよ」
そう言われても帰ることは出来なかった。
結局、その場を離れたのは30分後だった。
そして、エレベーターに乗り込む。
今度は邪魔されずとも地下1階に降りた。
扉が開いた。そのまま身震いのした左へと足音を響かせながら歩いていく。その音は不気味でなく軽快に聞こえた。
昼休みもすぐに終わった。
「今日は呼び出されないのか?」なんて冷やかしを受けたが気にはしなかった。
もちろん午後の授業もすぐに終わった。
理由は一つ。「さくら」と呼ばれた子の事が意識的なのか、無意識的なのか気になっていたからだ。
帰り支度をして、一旦家に帰った。自転車で行く方が早いから。
五月の風を体中に浴びるが気持ちいいのか、早く会いたいからなのか、ペダルを漕ぐ足は自然と速くなっていく。
少し汗の滲んだ額を拭って母親の病棟に入る。
相も変わらず元気そうだった。
「本当に来てくれたんだ」
「まぁな。どう?」
「元気だよ。見たらわかるでしょ」
「あぁわかる。手術いらねーんじゃねぇの?」
「そうかもね」
そう言って呑気に笑う。
「ま、でも母さんの事は気にしないで早く帰りなさいよ。テストだってあるんだから」
「わかってるよ」
そう言われても帰ることは出来なかった。
結局、その場を離れたのは30分後だった。
そして、エレベーターに乗り込む。
今度は邪魔されずとも地下1階に降りた。
扉が開いた。そのまま身震いのした左へと足音を響かせながら歩いていく。その音は不気味でなく軽快に聞こえた。