蒸発島
在る者と、有る者。
そこには沢山の人が居て、皆床にごろりと寝転がっていた。
肌の色は青く変色し、一目で死んでいると分かる。
「あーあ、見ちゃったんだ。
でもさ、貴方、えーと、名前はなんだっけ? ……そう、確か風子。風子ももうすぐああなるんだよ」
人は死んでからも意識がある。継続する。そして新たな悩みと共に――生きていかねばならない。
生を受けた瞬間から決まっていたことで、それはもう今更変えようの無い事実なのだ。
「彼女は死なないよ。だから関わるな」
何も知らない、何も教えてくれない。真実も、嘘も、彼女にとっては意味の無いことだから。
もう、疲れてしまったんだ。
長い間ここに居た。黄泉に行く人達を監視しながら、もしかしたら自分は永遠にここに居なくてはならないのではないかという不安を抱いて――。