蒸発島
本当は空虚な世界だと認めたくなかっただけなのかもしれない。
いずれにせよ、今の時点では答えが見えそうにない。
それに私は今、科学的に証明出来ない場所にいるんだ。二藍のことも気になるけれど、無事に現世に戻れるよう、注意深く行動しなくては。
二藍が見えなくなったので、慌てて穴に入る。
入り口では足から先に入ったため、沈むことしか出来ず、効率が悪かった。その経験を活かし、頭から潜っていく。
二藍の言う通り穴はそれほど長くなく、入り口の半分ほどだった。
抜けたその先は明るく、病室が遠くのほうまで延々と続いていた。
「風子」
「あ――二藍。
この階は病室ばっかりだね。同じような部屋が続いているだけで……。迷子になりそう」
見た限りでは、目印らしきものが何も無い。通路も幾つかあるので、本当に迷子になりそうだった。