蒸発島
もし二藍が、本当は、現世にはもう二度と帰ることはできないと言ったなら――。私は、一体どう思うだろう……。
ドアにかけた手に力を入れる。しばらく思考していたので、手は汗だらけになっていた。水の中でも汗をかくという理解できない現実にも、落ち着いた対応ができるようになっている。
私は、一人ではなにも出来ない。一人でいるのが恐くて、先へ進もうとしない。そんな自分を今、変えようとしている。この扉を開けた時、……大袈裟だけれど、私の中で何かが確実に変わってくれるのではないかと思っている。
精一杯の励ましの言葉を自分にかける。そして――。