蒸発島
拘束された死人達はただ、消えてしまいたいだけなのだ。
*
「二藍ー!」
どこへ行っても同じような廊下を、ただひたすら走り続けていた。
私は、助けを求めるためにドアを開けたんだ。それなのに、中で待っていたのは――、
(真っ青に変色してしまった人間……死体……!)
最早人間と呼んでいいのか躊躇するほどの酷い有様だった。それは元から青い肌だったかのように、淀んだ青黒い肌で倒れていて――!
「嫌だ……怖い! 二藍、……どこなの? 助けて……」
今にも後ろから迫ってきているのではないかと思うと恐ろしくて、立ち止まることが出来ない。