蒸発島
「僕? 僕は瑠璃。
二藍の――、うーん、友達って感じじゃないよな。知り合い、よりは親しいんだろうし。まあ仕事仲間って感じかな。風子の名前は、二藍から聞いた。ちらっとだけどね。さすが僕、記憶力がいい」
自分のことを僕を言った子供は、瑠璃というとても可愛らしい女の子の名前をしていた。
「そう、瑠璃っていうの。ねえ、二藍のこと知ってるってことは、ここに詳しいの? 私ね、早くここから出たいの。案内してくれない?」
瑠璃は一瞬とても哀しい顔をした。私、何かまずいことを言ったんだろうか?
しかし彼女はすぐにおどけた顔に戻った。
「別に慌てて出て行くことないじゃん。
――あ、もしかして、見ちゃった? 死体」
彼女は笑ったまま言った。小学生ぐらいの子供が、死体を見たのかと、屈託の無い笑顔で――。