蒸発島

「貴方、知ってるの? 青い死体のこと……」
「うん、知ってるよ。……やだなあ、そんな泣きそうな顔しないでよ。
 大丈夫、動かない。それにさ、風子ももうすぐああなるんだしさ」
「え?」

 今、なんて言った? 私もああなる、って……、
「ねえ、それどういう意味なの? 私、死ぬの? それとももう……死んでいるの? ……ねえ、笑ってないで、教えてよ!」

 瑠璃はやはり笑ったままで――。私の反応を楽しんでいるように見えて、苛立ちを覚えた。

 この子……底が知れない。
 
 普通の子供の持つ、純粋な心や付け入る隙、話しやすい雰囲気なんかが全く感じられない。
 もう何十年も何百年も生きているような……そんな気がする。

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