蒸発島
「そのうち分かるよ。その時になっても、きっと……僕はここに居るんだろうし……」
瑠璃は顔を若干伏せた。
何を言っているのか分からないが、
「瑠璃は、ここに居たくない?」
――ということなのだろう。
しかし瑠璃の顔に変化はない。真意を見抜かれた動揺などはないようだ。では、私にそれを伝えたかったということなのだろうか?
瑠璃はしばらく顔を伏せていたが、やがてけらけらと笑い出した。
「何がおかしいの?」
「風子は死なないんだってさ。二藍が言ってた。
それが彼女の本当の能力なのかな? 分かんないけど……もしそうだとしたら風子は死なないんだろうね……。
でもただの強がりだったとしたら、今頃体は死んでしまっているのかもしれない。
そうしたら、そうしたらさ……僕は黄泉に…………」
それは私に言った言葉ではなかった。そこには瑠璃しか居なくて、一人で会話をしているような――自分への確認か、納得か、希望か……、何にしろもう彼女にそれを確認する術は無かった。
なぜなら――、
「瑠璃?」
彼女をじっと見つめていたはずなのに、一瞬のうちに瑠璃はどこかへと消えてしまっていた。