蒸発島
どこを歩いても、規則的な病室が続くばかり。
しかし、瑠璃は現れ、消えたのだ。同じように見えているだけで、確実にどこかに道があるのだろう。
とにかく前へ進もう。私は現世に帰りたい。
そう、帰りたいのだから……。
有り触れた日常でもいい。どうして私は毎日を楽しく過ごすことが出来なかったのだろうか。現世に戻ったなら、今度は充実した日々にしよう。勉強も真面目にして、友達もたくさん作って、限りある命を全うしよう。
命ある今だからこそ出来ること。死んでしまったら、生きていた今にはもう戻れないのだから。