蒸発島

願わくば、明日への幸福を、永遠に続く未来を。


 *

「お姉ちゃん」

 ぐるぐると廊下を回っていた私の背後から、か細い声が聞こえてきた。
 
 振り向くとそこには、またもや小学生くらいの小さな可愛い女の子が立っていた。
 髪は黄色に近い茶色で、ゆるやかな腰まであるロングヘアー。フリルのついたピンクのドレスがとても良く似合っていた。大きな瞳は潤っていて、それが涙に見える。自信の無さそうな感じがする為、守ってあげたくなるタイプの子だった。

「どうしたの? 何か用?」
 出来る限り笑顔を作り、優しく言う。そうすると彼女はにっこりと八重歯を見せて笑い返してくれた。

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