蒸発島
「私、露草。露草でいいよ。お姉ちゃんは?」
露草と名乗った女の子は、人懐っこい笑顔で傍に寄ってきた。
「私は風子。……露草はどこから来たの?」
「私、ちょっと前からここに居るよ」
ここに居る、ということは、
「もう死んじゃった。だからね、現世の人と会うのは久しぶり」
えへへ、と笑う彼女はその潤んだ瞳を更に光らせた。
この子も死人。瑠璃も……そして二藍も恐らくは――。
可哀相、と思うのは人間の業。そんなことは分かっているけれど、そう思わずにはいられなかった。
「ねえ、風子、どうやってここに来たの? どんな能力を使ったの?」
「え?」
露草の声のトーンが落ちた。露草本人かと疑ってしまうほど、低い声だった。