蒸発島
彼女等はいつも的を得ていない返事ばかり。それは私が無知過ぎる故理解しきれないせいなのかもしれないけれど……。
「何故重要なの?」
「風子は気にしなくていいわ」
「だから……何故?」
「能力がないから」
どうしても、分からないまま話が進んでしまう。次第に苛立ちを覚えた。
「能力って何?」
「特別な力のこと」
「露草はその特別な力を持っているから、重要だと判断したのね?」
「違うわ。私は力を持ってはいるけれど、その力を使うことが出来ないの。だから重要視しているの」
露草は私の問いかけに答えてくれている。しかしそれは長くは続かないということを私は知っていた。
彼女はとても退屈そうにしている。
露草は何らかの理由で能力というものに拘っている。しかし私にはそれがない。つまり私と会話していても、露草には何のメリットもないし、こうしているだけで時間の無駄なのだ。