蒸発島

「二藍、ここどこ?」
 先ほどよりも落ち着いた声で尋ねた。
「ここは蒸発島という小さい島だ」
「蒸発島? 聞いたことない」
「それはそうだろう。誰でもここに来れるわけではない」

 二藍は淡々と答える。私は尋ねていくうちに、益々訳が分からなくなっていった。

「さっきのバーはどこへ行ったの? 帰れるのよね?」
「ここは現実と黄泉との隙間にある場所だ。さっきのバーには帰れるが、今この場には無い」
「黄泉ぃ?」

 あまりにも現実味の無い言葉を言われ、思わず大声を出してしまった。

「そう、黄泉。ここには死人が居る」
「はあ?」
 もうどう反応してよいのか分からない。頭がついていかなくて、ヒートしそうだ。

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