体操座りと救世主
「タケ、泣かんで。」
戸上は困ったように笑う。
「うっ…ううっ…俺がなんとかする…」
「…うん、ありがとな。」
俺の目から落ちる雫。それを戸上が拭ってくれようとしたときだった。
シュウッ
「え?」
一瞬、ほんの一瞬だけ、俺の涙が落ちた戸上の腕が、肌色に変わった。
思わず顔を見合わせる。
「うそ…。今、一瞬戻ったよな…?」
「…うん。」
俺は戸上の腕をとって涙を擦り付けた。
やはり、一瞬だけだが肌色に戻る。
「戸上!」
「お、おう、」
「いけるかもしれない!お前、生きれるかもしれない!」
希望の光が、明るく夜空を照らした。