体操座りと救世主
10、愛の正体
花火大会の後、帰ってきた戸上の家族に報告した。
しかし、俺以外の涙では、何の変化もなかった。
俺の涙にしか反応しない。愛とは、もしかして友情のことだろうか。
「でも戻っても一瞬だけなんだよなあ。」
俺の涙によって完全に戸上の肌が戻るなら、俺は一生分の涙を今ここで使い切ろうと思うのだが。
「タケ、ありがとう。」
「おう!また考えようぜ!」
その日はとりあえず家に帰った。
「タケくんは本当に救世主かもしれないな。」
「…おん。」