体操座りと救世主
果歩さんは言葉を続ける。
「ヒロくん、一年遅くに大学入ったでしょ?私もヒロくんも子どもを育てるために、高校卒業したら働くつもりだったから、現役では進学しなかったのね。でも子どもが死んで、親から進学をすすめられて今年から行くことにしたの。私は専門学校だけど。」
ナカヤンは留年したわけではなかったのか。
「子どもができたとき、すごい嬉しかった。ヒロくんと私の愛の結晶が生まれるんだって。ヒロくんと私をつなぎ止めておける理由ができるんだって。でも、」
だんだん曇っていく果歩さんの表情。
「それももうない。ヒロくん、まだ若いからきっともっとやりたいことあるだろうし、ホストのバイトしてたら、綺麗なお姉さんとかとの出会いもあるだろうし、そろそろ…」
「果歩さん、」
「ヒロくんを解放してあげなきゃ。」