体操座りと救世主
「おじいさん、落ち着きました?」
「ああ、すまんなあ。」
テキトーに降りた駅のベンチに座って話を聞く。
「あの、俺が愛ってなんのことですか?」
おじいさんは信じられないという表情になった。
「覚えてないのか!」
「は?」
「お前は愛という女の子の生まれ変わりで、わしは愛の父親の生まれ変わりじゃ。」
「生まれ変わり…?」
え、じゃあ、俺があの愛なの?戸上を救うことができる唯一の人間?
俺が?
「おじいさん、前世覚えてんの?」
「ああ。お前は覚えてなかったのか。じゃあなんで、電車でわしに声をかけてきたんじゃ?」
「実は…」
戸上のこと、じいちゃんがもらった龍の置物のこと、愛について知りたかったこと、それを話した。