体操座りと救世主
「大丈夫だよ。この人は私のお兄ちゃん。あなたの敵じゃないよ。」
「愛…何やってんだ?こいつは…」
「みんなが言ってるこの裏山に住んでいる猛獣って、たぶんこの子だったの。でもこの子、全然悪いことしないよ。とてもおとなしくて、いい子なの。」
「え…」
誠は恐る恐る手を伸ばしてみた。
「ヴー」
「うわっ!」
「ははっ。大丈夫だよ、兄ちゃん。この子、噛んだり攻撃したりしないから。」
鱗の表面はゴツゴツした手触り。
撫でていると、警戒心がなくなったのか、誠の方に頭を寄せてきた。
「ふふ。もう仲良しだね。」
その日から、たまに誠も龍のもとに通うようになった。