体操座りと救世主
それから1年経った頃、村では伝染病が流行っていた。
誠と愛の母も、その伝染病を患ってしまい、隔離されていた。
「お母さん!お母さん!」
患うと数週間で死に至る病気。
母もどんどん弱っていき、息を引き取った。
「兄ちゃん…っ」
誠は泣いている愛の肩を抱き、涙を堪えた。
愛は悲しさのあまり、1週間ほど家から出なかったが、それからまた、ちょくちょく龍のもとへ行くようになった。
誠は、母の代わりに家事を請け負うことになったのでなかなか外には出られなかったが、愛が笑顔で出かけていく様子を見て安心していた。