体操座りと救世主


ある日、愛は体調を崩して寝込んだ。

「愛、大丈夫か?お粥さん作ったぞ。」

「コホッコホッ!んう…いらない。」

「…」

誠は嫌な予感がした。

咳が止まらなくて、熱が下がらない。

愛は死んだ母親と同じ症状だった。

「愛…」

すぐに医者を呼んで見てもらうと、一番恐れていた結果だった。

誠は愛を抱き締めた。

「隣の村のお医者さん、有名らしいから来てもらおうな。治るからな、頑張ろうな、愛。」

「お兄ちゃん、あんまり近づくと移っちゃうよ。」

「大丈夫だ。」

愛は眉を下げて笑った。

「お兄ちゃん、あの子に伝えて。しばらく行けそうにないって。」

あの子…

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