体操座りと救世主

翌日、隣の村の医者が訪れたが、愛の病気は手の施しようがないくらいまで進行してしまっていた。

「お父さん…お兄ちゃん、ありがとう。大好きだよ…」

「愛!愛!」

2週間後、愛は息を引き取った。

父も誠も涙が止まらなかった。

愛は死ぬ直前、誠の耳元で囁いた。

「私が死んだこと、あの子には言わないで。」と。

誠は愛の葬儀が終わった後、裏山に登った。

『誠。』

いつものところに龍はいた。

「…久しぶりだな。」

『愛の調子はどうだ?』

誠は泣きそうになるのを堪えて、笑顔を作った。

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