体操座りと救世主
「愛は…大丈夫だよ。まだ回復してないけど。」
『そうか…いつになったら会える?』
「…っ!」
誠は言葉に詰まった。
『誠?』
「実はさ、愛、隣の村に行ってるんだ。」
『え?』
「隣の村の方が有名なお医者さんもいるし、空気や水が綺麗でさ、療養には良くて、今は向こうで暮らしてる。」
『そうなのか。』
「だから、いつここに来れるかわからない。」
『…わかった。』
誠は自分の嘘がバレないかドキドキした。
「じゃあな。」
『誠。』
「…ん?」
『また来てくれ。』
「…ん。」
誠はそれから二度と裏山には入らなかった。