体操座りと救世主

「…これは後から聞いた話なんだけどね、そのあと龍は…まあ、そのあとって言っても30年後とかかしら。なかなか来ない愛を探しに隣の村に降りたらしいの。龍は穏やかな性格だったから、初めは怖がった村人たちもだんだん受け入れてった。」

「そうなんや。」

「うん。でもね、何人かの村人は、龍を忌まわしく思っていたの。その村人が、龍は愛という女の子を探してるってことを聞き付けて、その辺りにいる女の子を身代わりに龍に授けて、龍を山に戻すように企てた。」

「それって…生け贄…?」

「まあそんなものね。でももちろん、龍が受け入れるわけないわよね。愛っていうのはあなたのことだったんだから。」

…なるほど。呪いまでの経緯がわかったかも。

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