体操座りと救世主

授業前、ぐるっと教室を見渡しても愛ちゃんはいなかった。

授業が始まってから遅刻して入ってきた愛ちゃん。

先生に渡された封筒は後で渡そう。

「うわ。ヨネ何してんの。」

隣の席で珍しく起きていたヨネは消しゴムを積み重ねていた。

「暇なんよ。あ、タケさんも消しゴム貸してや。」

「嫌よ使うもん。」

「ノートとってないくせに。」

「…」

俺は静かにヨネに消しゴムを差し出した。

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