体操座りと救世主
それから2ヶ月くらい経ったころ、ひょんなことからマナは文太と戸上と3人で昼食を食べることになった。
お湯の入ったカップ麺を持ったまま、後ろを向いて歩く文太は案の定躓いて、お湯を戸上の腕にかけてしまった。
文太は慌てて戸上の袖を捲る。
その時、実はマナは戸上の腕を見ていたのだ。
前世の記憶がよみがえる。
龍の生け贄として差し出された自分。
しかし、龍は自分を受け入れなかった。そして暴れた。
村人が立ち上がって暴れる龍を殺した。
龍を殺そうと発案した男が、龍の呪いにより、全身緑の鱗に覆われて死んだ。
そしてそれは末代まで続く呪いである。
つまり戸上はあの男の子孫。
もうじき、緑の鱗に覆われて…死ぬ。
一瞬でそれだけのことが頭の中を巡った。