体操座りと救世主
「名前を呼んであげて。」
「へ?」
「龍の名前。愛が昔、龍に付けてあげた名前。」
…名前?
「それがきっと、呪いを解く方法。」
「そ…うなの?」
「たぶんだけど。私が生け贄にされたとき、龍が言ったの。『俺の名前を呼んでくれ』って。でも私は愛じゃないから答えられなかった。そしたら龍は怒っちゃった。」
…名前。
「愛にしかわからんのやろね。」
「…」
「戸上くんを、龍を、助けてあげて。タケくんにしかできんことよ。」
「…ない。」
「え?」
「龍の名前、わからない。」
「え!?タケくん、愛なんやろ!?」
「前世の記憶ない…」
「そうやった…」
2人は項垂れた。