体操座りと救世主

その日の講義中、戸上は頭を押さえて机に伏せた。

「え、戸上、どしたん、大丈夫?」

後ろから背中をさする。

「…頭痛い。」

「…保健室行く?」

俺は戸上を連れて教室を出た。

保健室には向かわず、空き教室に入った。

「戸上…」

「タケ、怖い。」

「え?」

「死ぬ覚悟なんてとうの昔にできとったはずなのに、いざそうなると…怖い。」

俺の腕を掴む戸上の手が震えている。

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