体操座りと救世主

「文太。あんたの分のご飯ないで。」

家に帰って母さんの開口一番はそれだった。

戸上ん家のメイドさんは急に行っても用意してくれるのに!…まあ家事が大変なのはわかってるから何も言わない。

「カップ麺でいいよ。」

「カップ麺ならあるわ。探して食べて。」

台所の棚をがさごそ漁る。

その時だった。

バチッ。

「あ。」

「え?」

家中の電気が消えた。

外を見ると、近所の家も真っ暗だ。

「うっそ。停電?」

豪雪のため停電したらしい。なにそれつらい。

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