体操座りと救世主
21、血筋
愛は母親が死んだあと、何日も泣き続けた。
大切な人の死は、心を信じられないくらい深く抉った。
食欲もなくなり、外に出る元気もなくなった。
「愛…」
父や兄はひどく心配した。
数日経ったある日、愛は苦しみで押し潰されて死んでしまうのではないかと思った。
そんなとき、頭に浮かんだのは龍の存在。
愛は真夜中に家を抜け出して、裏山をかけ上った。