体操座りと救世主
22、絶望
戸上のじいちゃんから連絡が入ったのは、雪が溶け始めた頃だった。
「…え、今なんと?」
電話に出たメイドさんの顔色が変わり、それから黙ってしまった。
「あの、どうかしたんですか?」
メイドさんの表情は変わらず、視線だけ俺の方に向けてきた。
よく見ると手が震えている。
俺は受話器をとった。
「もしもし?おじいさん?戸上落ち着きました?」
『…タケくん、落ち着いて聞いてくれ。』
「え?」
『俊介は…今眠っている。』
「そうですか。」
『きっともう、目覚めることはない。』
俺は言葉を失った。