体操座りと救世主
「…ごめんなさい。みんな、俺のせいで、」
「…タケくんのせいじゃないよ。仕方なかったんだよ。」
「違うんです。思い出したんです、龍の名前。昨日の夜、思い出したんです。」
こんなことなら、無理してでも戸上に会いに行けば良かった。チャリでも徒歩でも、足が霜焼けで痛くなっても、戸上のもとへ行くべきだった。
俺の言葉に全員が目を見開いた。
「タケくん、本当?」
「…はい。」
「呼んであげて!そうしたら兄貴、目覚ますかもしれん!」
幸成くんのその声に、わずかな希望をもって、龍の名前を呟いた。