体操座りと救世主
それから俺は一歩も外に出なかった。
「…文ちゃん。」
雅也が俺の様子を見にうちに来た。
「…戸上助けられんかった。何が救世主や。」
「…今日戸上んとこ行ってきたんやけど…戸上な、あと一週間で延命措置やめるんやって。」
「っ!」
「やからな、クラスメートとかみんな代わる代わる戸上に会いに行きおる。」
「…そう。」
「戸上の両親が、文ちゃんのおかげやって言っとったよ。」
「は?」
「こうやって、戸上をみんなに会わせることができるのは文ちゃんのおかげやって。緑の鱗のままやったら、身内だけしか会えずに寂しかったやろうって。」
「…」