体操座りと救世主
23、絆
それから一週間後。
戸上の延命措置を取り外す時がきた。
戸上のお父さんから立ち会ってほしいと言われたが、俺には勇気がなかった。
部屋でうずくまり、ただ震えることしかできなかった。
「…文太、行かんでええの?」
「…無理だよ。」
「…そう。」
母さんはそれ以上何も言わなかった。
そろそろ時間だ。戸上の心臓が止まってしまう。
結局俺は、救世主になんてなれなかった。