体操座りと救世主


その日、夢に龍が出てきた。

『…愛。』

龍は泣きそうな顔でこちらを見ている。

「翠玉。戸上を助けてくれてありがとう。」

『…うん。』

「嫌い言うたん、嘘やからな。お前が苦しい思いをしてきたんもわかっとるからな。」

『…良かった。』

「それから俺は、もう愛やない。愛の生まれ変わりなんは確かやと思うけど、今は文太やから。」

『…』

「やから翠玉も、はよ生まれ変わっておいで。待っとるから。会えるん楽しみにしとるから。」

『愛…文太、ありがとう。』

緑の光はすうっと消えていった。

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