体操座りと救世主


その日の帰りの電車の中でゲームアプリをしていると、戸上がもたれかかってきた。

「眠たいん?」

「…タケ。」

「ん?どしたん?」

「みんなで旅行行く約束したやん。」

「うん。」

「もう一個な、ずいぶん先の約束してもいい?」

「何?」

「ずっと、俺が死ぬまで、笑ってそばにおって。」

戸上がそんなことを言い出すからびっくりしてゲームオーバーになってしまった。

「ああ!戸上のせいで負けたやん!」

「え!?ごめん!」

戸上はガバッと顔を上げた。

「それと、その約束やったらずっと前にしたやろ。忘れてないし、破るつもりないよ。」

「…ふふ。ずいぶん先の約束、前からしとったんやなあ。」

「そうよ。あー。戸上のせいで時間置かんとこのゲームできんくなったー。あほー。」

「ごめんー。」

とりあえず頭突きしておいた。

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