体操座りと救世主

「昨日はごめんな。お湯かけてしもて。火傷せんかった?」

「…。」

「おじいさんが戸上が昨日からなんも食べてないって心配してたで。これ渡されて。」

「…。」

戸上は無言だ。やはり怒っているのか。

「あの…戸上…」

「なあ、お前、昨日俺の腕見たやろ?気持ち悪くないん?」

「え、」

戸上の顔を見ると、泣きそうだった。怒っているなんてことはなく、今にも泣き出しそうな表情だった。

「えっ!なん?どしたん?ちょっとびっくりしたけど!気持ち悪いとかは思わんかったよ!びっくりはしたけど!」

もしかして戸上は、怖がられることを恐れていた?そうやって人から避けられることに怯えて、自分から避けていたのか?あくまで推測だけど。

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