体操座りと救世主
「文ちゃんまたうどん?」
「おん。うまいし安いし。鞄置いて買っといでや。」
「いってくるー。」
2人は財布だけ持って学生の列に並んだ。
俺はうどんをすすりながら窓際の席に目をやる。
相も変わらず、王子はひとりだった。
近寄るなオーラが出ている。
カウンター席に座る王子の両隣は空席だった。
まあ、あそこに座る勇気はないわな。
窓から入る太陽の光で、王子はいっそうキラキラしていた。
まるで別世界のようだ。
「文ちゃん何見おん?」
いつの間にか戻ってきていた雅也の声によってこちらの世界に引き戻された。