ありがと。
一通り説明を聞き明日から入院するように言われて病院をでた。




あたしは何がしたいんだろう。

この世界に生きてる意味は何?


あたしのお祖父ちゃんは癌で死んだ。

棺桶に入っていた、大好きだったお祖父ちゃんはあたしの知っているお祖父ちゃんじゃなかった…
抗ガン剤のせいで、食欲が無かったのかガリガリに痩せていて…

いつも笑顔で、優しかった顔が苦しそうで…


どうせ抗癌剤でつらい思いして死ぬのなら

今元気の状態で死にたい…。




そんな事を思ったあたしは空を見上げた。
あたしの気持ちと裏腹に空は雲一つない青空だった。




あのどこまでも続いているあの空に

あのどこにでもいけるあの風に

あのゆっくりと進むあの雲に

あたしはなりたい。




「あー。あたしも死んだらあの空みたいになれるかな??」




あたしはビルの屋上に向かった。


ビルに着いた時はもう夕日が出ていた。
屋上のドアには立ち入り禁止の札が貼ってあったが、あたしは気にせず入っていった。


フェンスも何もない屋上に出て一番景色がいい所の隅に立って靴を脱いだ。


「お父さん、お母さん今そっち行くからね??」




あたしの両親は二年前あたしが中3の時死んだ。
結婚記念日で旅行に行ったまま帰ってこなかった。


交通事故だった…。





大好きだった両親を思い出し泣きそうになった。


「みんな今までありがとう・・・。」




あたしは一歩踏み出した…。



・・・とその瞬間。
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