ありがと。



彼はずっと泣き終わった後も抱きしめていてくれた。
あたしが両親の話、自分の事話してる時
ずっと「うん」「大変だったね」って言ってくれていた。




あたしが話し終わると
彼はあたしを放した。




「もう真っ暗だなぁ。1人で帰れる??俺送ろうか??」

座っていたあたしに手を差し伸べながら言った。



「ううん、いい。今日はありがとう。じゃあね。」

あたしがドアノブに手をかけ屋上から出ようとすると彼が手を掴んだ。


「っえ??」


「やっぱ送る。女が1人で歩いてたらあぶねーぞ。」


「あ、うん。ありがとう。」



それからあたし達は他愛のない話で盛り上がった。
あたしの住んでいるマンションにつくと
彼は驚いたような顔をした。



「どうしたの??」



あたしが聞くと彼はマンションを指差していった。

「これほんとにあんたの住んでるマンション??」







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