ありがと。


「そうだけど??」


「ここ俺も住んでる・・・。」


「ぇえ?!まぢで?!すごーい!!なんか偶然っ!」


「すげーよなぁ!!何号室??俺646号室。」
彼は興奮したように言った。

「あたしは645号室!!じゃあ苗字って結城っていう?!」


「そうそう!!あんた成瀬っつーんだ!!」
彼はあたしの方に指をさしながら言った。


「そうだよーっ!かのんって言うの!!よろしくねお隣さんっ」


「よろしくーかのんっ俺は隼人っつーんだ!!よろしくな!!」


そう言って
あたし達はそう言って自分達の家に戻っていった。


あたしは部屋に入るとケータイを取ろうと鞄をさぐると
【石田病院】と書かれた領収書が出てきた。


忘れかけていた“癌”と言う言葉がよみがえって来た。



「あーあ。あたしやっぱ癌なんだ…。」


言葉に出してみるとその現実があたしを襲ってきて知らず知らずの間に涙が出てきた。


「まだまだしたいことあるのにさぁ。神様って意地悪だよね・・・」



神様っているのだろうか。
いるとするのならあたしは一言神様に言いたい。
“なんであたしなのよ!バカ野郎”って。


そんなこと言ったらお祖母ちゃんが謝るんだろうな・・・。


なんて想像をしてたら家のチャイムがなった。


「はいはーい?どちらさんですかぁ??」


――ガチャッ――


「隼人さんですよっ!何してた??」


「隼人君っ別に何もしてないよ??変なの~」


「いや~なんかさぁ、泣いてるような気がしてさぁ…。いや!気のせいならいいっ」


「…ハハハ。隼人君なんで全部分かっちゃうかな…??」



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