とけない気持ち
「結衣、可愛い。照れすぎな」

頭をなでなでしながら耳元で呟かれた。

低い声が甘く響いて、それでまた心拍数が速くなる。

この声が、好き。

「そーいや、さ」

「んー?」

「これ、どーしたの?」

私の腕を見ながら、遥が言う。

視線の先には、袖からちらっと見える青あざがあった。

一気に血の気が引いていき、焦りで冷や汗が出てくる。

「ん...うった」

「どこで?」

鋭い聞き方に、さっきとは別の意味で心臓が速くなる。

「忘れちゃった。覚えてないよ」

「ほんとに?」

「ほんとに」

「嘘。結衣目合わせてくれない」

あ、やってしまった。

私が嘘をつくときの癖だ。

まぁ、目を合わせてもすぐに表情でバレてしまうんだけど。

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