甘い囁きが欲しい


「来週の、水曜日ですか?」
「うん」

今日は、木曜日。
つまり一週間後の約束。


そもそも、なぜ一週間後の話がでているのか。


そして、なぜよりにもよって水曜日なのか。

残業を頼まれれば率先して参加もする。

仕事がおわらなければ、当然残業だって私は苦にならないのだが。


「都合悪い?」

部長の困ったような表情には、下で働くようになってからかなわない。


「いえ、ただ一週間後の話だったので驚いて」

「ああ、それはね。
来週の水曜日に、僕と荻原さん以外はセミナー参加になってるんだ。
だから、その日はどうしても人手不足で…早めに言っておいた方がいいかと思って」


不意にホワイトボードへ目を向ければ、メンバーの二箇所を除き、セミナー参加と記されている。

「わかりました。
早めに教えて下さってありがとうございます」


頭を軽く下げれば、小さく笑って軽く背中を叩かれる。

がんばろーな。

言葉にはされない部長の仕草。



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