甘い囁きが欲しい
「鈴木部長となに話してたのー?朝から仲いいなー」
隣のデスクの同期からむけられた言葉。
「来週のセミナーのある日の話しだよ」
「そっか」
「残業頼まれたの」
「えー、いいな。
私セミナーより鈴木部長と残業してたいわー…って、優香水曜日デートじゃないの?」
地声の大きな、よくいえば明るい彼女の声が部署によく通る。
否定するのもわざとらしく
何も言わないのも、なんだか気が引けて私は曖昧な笑みを返しパソコンへと視線を落とした。