甘い囁きが欲しい
「乾杯」
生ビールを二人で頼んで、カウンターに並んで座る今の状況。
部長と二人でこうやって飲みに行くのは久しぶりだ。
もし、この姿を松木さんが見たらなんていうんだろうか。
いや、きっと何も言わずに笑って、気にもしないのではないか。
そもそも、私はなんだろうか。
彼、にとって。
「しわ」
「え?」
「眉間に皺寄ってるよ」
冷たい指先が眉間に触れる。
あ、グラスを触っていたから冷たいのかな。
そんな場違いなことを考えながら目を細めた。